R曲げとは?曲げRの意味や加工方法の種類による違いを解説
R曲げはカーブを描いた製品を製造するのに重要な曲げ加工です。
さまざまな製品に用いられているので、R曲げについて詳しく知っていると製品デザインの幅が広がります。
ただ、R曲げは加工方法の種類によって特徴に違いがあり、曲げRを考えて精密に設計することが必要なので、技術を求められる加工方法です。
この記事ではR曲げについて基本的なポイントからわかりやすく解説します。
R曲げとは
R曲げとは、円弧を描くようにして丸みを帯びた形状に金属板を変形させる曲げ加工です。
L曲げやO曲げなどとは異なり、アルファベットのRの形状に加工する方法ではありません。
R曲げによる加工では、曲げRを決めて加工します。
曲げRとは
曲げRとは、R曲げ加工をするときの半径のことで、曲げる位置と曲げ加工をするところの中心の間の距離を示します。
曲げRを大きくすると緩やかなカーブになり、曲げRを小さくするとタイトなカーブになります。
曲げRは、曲げ半径や内曲げRとも呼ばれることもあるパラメーターです。
FR曲げとの違い
R曲げと同様に、金属板を丸みのある形に加工できる方法としてFR曲げがあります。
R曲げとFR曲げは加工の仕方がまったく異なります。
R曲げはプレスする側と金型を精密に設計して、プレスによって一度で丸い形状に加工できる方法です。
FR曲げではR曲げの専用の金型ではなく、汎用されている金型を使用して曲げ加工をします。
加工の際に材料を少しずつ送りながら曲げるのがFR曲げの特徴で、大きな曲げRの製品を製造するときによく用いられています。
R曲げの加工方法の種類と特徴
R曲げではベンダー加工、ローラー加工、プレス加工が用いられています。
加工方法の種類によってメリット・デメリットが異なるので、R曲げによる製品の製造を依頼するときには違いを理解しておくことが重要です。
ここではR曲げに用いられる3種類の加工方法について特徴を紹介します。
ベンダー加工
ベンダー加工は曲げ加工に特化したベンダー加工機を使用し、金属板を曲げて加工する方法です。
ベンダー加工は丁寧に金属材料を曲げられるので、複雑な曲げ方にも対応できるのがメリットです。
R曲げでも複雑に湾曲した形を作り上げることができます。
ただ、一つずつ加工をする必要があるため、複雑なR曲げの製品を量産するのには向いていないのがデメリットです。
簡便な方法として、試作品を制作するときにはベンダー加工がよく用いられています。
ローラー加工
ローラー加工は、金属板をローラーに通すことで曲げていく加工方法でFR曲げで用いられています。
ローラー加工では複数のローラーを回転させて流していくことで、連続的にR曲げができるのがメリットです。
金型に金属板を固定して加工する他の方法に比べると、大量生産をしやすい特徴があります。
ただ、ローラー加工では製造できる製品の範囲が限られているのがデメリットです。
大きな金属板を均一に曲げたいときにローラー加工が選ばれています。
プレス加工
プレス加工は、金型を使用して金属板に圧力をかけることによりR曲げをする加工方法です。
金型を精密に製作する必要がありますが、頑丈な金型を作ることで同じ曲げRの製品を正確に製造でき、安定した生産が実現します。
R曲げ加工によって製品を大量生産するときや、精密な品質管理が必要な製品を生産するときにはプレス加工が適しています。
プレス加工では金型の製造に初期コストがかかりますが、大量生産するのであれば安定した品質を維持できるのが魅力です。
R曲げの注意点
R曲げ加工をするときには、曲げRが小さくなり過ぎないように注意しましょう。
曲げRが小さくなると湾曲が大きくなります。
湾曲が大きくなれば金属素材が曲げに堪えられなくなってしまい、割れてしまうリスクがあります。
最小曲げ半径は金属材料による違いもありますが、R曲げ加工をするときの条件による影響も受けるのが特徴です。
R曲げは技術がないと割れが問題なってしまうことがあるため、特に曲げRを小さくしたいときには、実績ある曲げ加工の専門業者に依頼するのがおすすめです。
R曲げの加工事例
極圧R曲げ
パンチング材(4mm)R曲げ
建設部材用R曲げ加工
まとめ
R曲げとは、一定の半径を持つ丸みのある形状にする曲げ加工です。
曲げRを決めて設計することで、希望の曲がり具合の製品を製造することができます。
精密なR曲げをするためには、金型を作ってプレス加工をするのがベストです。
ただ、大きな金属板の加工ではプレス加工よりもローラー加工が良い場合もあります。
試作品の製作ではベンダー加工も用いられています。
R曲げ加工の目的に合わせて適切な工法を選んで製造しましょう。