プレス加工
プレス加工とは、「高張力鋼板」や「耐摩耗鋼板」などの金属の板を金型で挟み圧力を加えて変形させる加工方法です。
プレス加工の種類は幅広く、エアコンや携帯電話、硬貨などの小さいものなどの打ち抜きによる加工もあります。
弊社では、建設に必要な大きくて厚みのある鋼板をプレス加工でベンダー曲げをし加工しております。
プレス加工のベンダー曲げでは、罫書き線をいれて少しずつ曲げていきます。また、ロール曲げではできない深いコの字曲げ、浅いコの字曲げや複雑な形状の加工も可能です。
目次
プレス加工の種類 プレス加工のメリットとデメリット ベンダー曲げについて プレス加工機の種類 プレス加工の不良が発生する原因 金型とは ハイテン材について SS400とは スプリングバックの原因と対策 JIS規格とはプレス加工の種類
普段身近な製品でも「プレス加工」という技術が使われているのをご存知でしょうか?自動車部品や電子部品、日用品など多くの金属製品が「プレス加工」で作られています。森井鉄工所では「プレス加工」の曲げ加工で建築物や機械などの部品となる大きなものを製作しています。プレス加工の中には、大きく分けて5種類の加工方法があり、それぞれ特徴や用途があるため適した方法を選びことをお勧めします。
せん断加工
せん断加工とは、上下一対の金型を使用し、金属板などの素材を切断する加工のことです。素材となる金属板などを下の金型に固定して、上の金型で圧力をかけプレスすることで金属板が切断できる仕組みです。素材を切ることを目的としている加工ですが、せん断加工の中にも「穴あけ加工(ピアス)」や「ブランク加工(打ち抜き)」、「トリミング加工(切り欠き)」などさまざまな種類の加工があります。
曲げ加工
曲げ加工とは、金型を使い、上から強い力を加えて目的の形に変形させる塑性加工のことで、「ベンダー加工」や「ベンディング加工」「ベンダー曲げ」とも呼ばれています。曲げ加工にはさらに細かく様々な曲げ方の種類があります。
例えば、「パイプ曲げ(円筒曲げ)」「テーパー管」「R曲げ」「Z曲げ」「箱曲げ」などがあります。森井鉄工所では難しいと言われている「深いコの字曲げ」なども扱っております。詳しくはこちらをご覧ください(曲げ加工ページ)
絞り加工
絞り加工とは、素材をプレスすることで繋ぎ目のない「円筒」「角筒」「円すい」などの様々な形状の底付き容器を作る加工方法のことです。絞り加工はシワや歪み、割れなどおこさないために加工条件を上手く合わせなくてはいけないため、とても難しい加工とされております。
成形加工
成形加工には、大きく分けて2つの方法があります。
①型に金属や樹脂を流し込み形を成形する方法
②金型を強い力でプレスして形を作るもの
プレス加工でいう成形加工とは、金型を用いて打ち抜きや曲げを行う「板金加工」のことです。
圧縮加工
圧縮加工とは、素材に熱を加えながら圧縮して変形させる加工方法です。「スウェージング」や「コイニング」などが主な圧縮加工の種類となりますが、金型を押し付けて強い力をかけてプレスし変形させる「鍛造加工」なども圧縮加工とも呼ばれています。
プレス加工のメリット・デメリット
メリット
・加工スピードが早い
・寸法通りの精度の高い製品を作れる
・長いものや厚いものも加工可能
・金型を使用するため、量産できる
デメリット
・繋ぎ目がロール曲げより多くなってしまう
・初期コストがかかる
・金型製作に高い技術やノウハウが必要
・小ロットに不向き
森井鉄工所では、多くの金型を取り扱っております。また、自社製のプレス機と30年以上曲げ続けた職人技術で、最大L寸法6500mmの長さまで加工が可能です。大きくて長い素材でも、分割や不要な溶接をしない加工で、トータルコストを抑え、見た目も美しく仕上げる事ができます。
ベンダー曲げについて
ベンダー曲げとは、プレス加工の方法の1つで、ロール曲げとの大きな違いは金型を使用するということです。
プレス機に金型を設置し素材にかける圧力を調整しながら少しずつプレスして曲げていきます。数ミリ単位で罫書き線を引き少しずつ曲げる、非常に繊細な加工技術です。
ロール曲げではできない角のある形状や、ロール曲げでも加工しているテーパー管やR曲げなど、幅広い加工が可能となります。
また、金型を用いて加工するため生産性に優れていて数量の多い受注が可能なのも特長です。
生産性に優れているため、加工できる板厚や長さなどが他の曲げ加工よりも制限があることが多いです。
森井鉄工所では様々な硬さや長さ、厚さの「L字曲げ」「コの字曲げ」「角丸管」「テーパー管」「R曲げ」「パイプ曲げ」「コンベア曲げ」など幅広いプレス加工に対応しております。
金型をプレス機に設置します。
罫書き線に沿って少しずつ曲げていきます。
プレス加工機の種類
プレス加工機には大きく分けて「機械プレス」と、「液圧プレス」の2つの種類があります。森井鉄工所では、機械プレスで加工をしています。「機械プレス」と、「液圧プレス」の違いをメリットとデメリットを合わせて詳しく解説します。
機械プレス
プレス加工でよく使われるのが機械式のプレス機です。機械プレス機は「クランクプレス」「リンクプレス」「ナックルプレス」「スクリュープレス」「フリクションプレス」に細分化されています。機械プレス機の仕組みは、エアーと電気により駆動します。中でもよく使われているのが、クランクプレスです。クランクプレスでは、スライドの上下の動きは一定で「抜き加工」や「曲げ加工」「絞り加工」など様々な加工で使用されています。森井鉄工所で扱っているプレスもクランクプレスです。
メリット
・動作スピードが速く大量生産ができる
・液圧プレス機と比べメンテナンスが安易
・液漏れがない
デメリット
・加圧力の保持ができない
・1回の圧力量が決められているため、任意の位置で止められない
森井鉄工所ではアマダ製プレス機の他に自社製プレス機も使用しています。
液圧プレス
液圧プレスには「油圧プレス(油圧式)」「水圧プレス(水圧式)」2種類の方法があります。液圧プレスとは、油または水をポンプでシリンダーに送り、その圧力でプレス加工を行う機械です。機械プレスと違い、液圧を制御することで曲げ加工(塑性加工)を柔軟に行えるのが特徴です。
メリット
・加圧力を制御し調整できる
・導入コストが他のプレスに比べると安価
デメリット
・液漏れのリスク
・動作スピードが遅い
プレス加工の不良が発生する原因
プレス加工で発生する歪みや不良には様々な種類があります。その原因を種類ごとに解説します。
割れ
割れとは、圧延方向や曲げ幅寸法によって発生する不良のことです。また、被加工材の材質によっては加工後、数日経ってから割れが発生する場合もあります。
森井鉄工所では、材質的に割れる板(S45C、S55C、S60C)は扱わず、焼鈍(しょうどん)して柔らかくし割れにくくさせ、焼入れして固く戻す。など対策をしています。
かじり
かじりとは、金型と被加工材が加工の際に接触して発生する擦り傷の不良のことです。潤滑剤の管理不足や外部からの異物混入なども原因にあげられます。
森井鉄工所では、研磨や油を塗り金型を常に滑らかな状態にして対策しています。
歪み
歪みとは、加工中に熱や圧力を加えることで発生する不良のことです。整形時の引張と圧縮のバランスなどが原因となります。
歪みは主に切断したり、熱を加えた時に発生するため森井鉄工所の加工工程では起こりません。
しかし、歪んだ板を機械ハンマーで直すなど、歪みの補正は行っています。
プレス加工では様々な要因で歪みがでてしまうことがあります。森井鉄工所では、被加工材のほぼ平な板をもっと平に加工などもしています。
曲げ加工が得意な弊社ですが、
— 株式会社森井鉄工所 | 曲がったことはしない鉄板曲げ加工専門業者 (@morii1200tpress) August 23, 2023
「ほぼ平な板を、もっと平にする加工」も可能です。
お客さまのご要望のお答えし、今回は、板の歪みを補正させていただきました。#ものづくり #鉄板加工 #工場 #町工場 pic.twitter.com/69ZUXsnidL
スプリングバック
曲げ加工では、弾性域の外部による力がなくなった時に元に戻る性質により、計画通りの角度にならならないといった「スプリングバック」が発生します。
スプリングバックの原因と対策についてはこちらで詳しく解説しています。
金型とは
金型はプレス加工に必要不可欠なものです。
金型には「ダイグループの金型」と「モールドグループの金型」の2種類があります。ベンダー曲げで使用する金型は、ダイグループの「プレス金型」になります。
プレス金型は、上型はパンチ(ポンチ)と呼ばれ、下型はダイ(ダイス)と呼ばれます。ベンダー曲げ加工ではパンチとダイで支点と作用点を作り、板を加工します。パンチとダイで材料を押さえると、パンチとダイの形状が転写されます。ロール曲げでは出来ない複雑な形状なども加工が可能です。
森井鉄工所では、多くのプレス加工の実績により金型も豊富に取り扱っております。すぐに対応できる場合もございますので、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
ハイテン材について
ハイテン材(High Tensile Strength Steel Sheets)とは、高張力鋼板のことで、名前の通り高い引張り強さの有る鋼板のことです。
ハイテン材は一般材に比べて、強度が強く板厚を薄くすることが可能であることから、軽くて丈夫なのが特長です。
最近では、自動車製造にハイテン材を使用することでボディーを軽くし、燃費を上げることができるためよく使用されています。
また、ハイテン材は溶接する際にも板厚が薄くなることで溶接金属の削減や加工工数削減にも繋がり、多くの産業で軽量化ニーズによる需要が増えてきています。
しかし、強度の強さにより元の形状を保とうとする性質(スプリングバック)があり、プレス加工中に割れなどが生じる場合があるため、難成形材料とされていて加工が難しいと言われています。
弊社では、独自の設備と技術で、ハイテン材のような鋼板の曲げ加工も可能です。
森井鉄工所では、独自の設備と技術で、ハイテン材のような鋼版のプレス加工実績も多数あります。ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
SS400とは
SS400(軟鋼)とは、JIS G3101(一般構造用圧延鋼材)のG=鉄鋼部門の鋼板のことです。
SSとはスチールストラクチャー(Steel Structure)の略です。
400とはSS400の引張強さの数値(400~510N/mm2)を表しています。
ss400はプレス加工でもよく使われる素材です。SSの中にはSS330/SS400/SS490/SS540などがありますが、SSと言ったら「SS400」というぐらいSS400は主流な鋼板です。
SS400には「鋼板」「鋼帯」の2種類があります。その中でも一般的に使用されるのが「SS400鋼板」です。
森井鉄工所では、SS400の加工実績も多数あります。プレス加工のことなら、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
鋼板
鋼帯
スプリングバックの
原因と対策
プレス加工のベンダー曲げではスプリングバックが発生します。スプリングバックの原因には、弾性域と塑性域が関係してきます。
弾性域とは、あるところで引っ張ても荷重が下がる点(降伏点)までの間を弾性域といいます。その弾性域を超えたところを塑性域と呼びます。
弾性域では、外部の力によって変形はするが外部の力がなくなった時に元に戻る域のことです。
塑性域では、弾性域とは異なり外部の力がなくなっても元に戻らない域のことです。
そのため、スプリングバックの原因は曲げ加工における弾性変形量が大きい場合に起こります。その他にも、同一の金型では、板厚の薄い箇所や、同じ板厚も場合は曲げ加工半径が大きい部分に起こりやすくなります。
それらのスプリングバック対策として、スプリングバック量を予測して行う「オーバーベンド」などの方法があります。
原因
対策
90度に曲げ加工
スプリングバックにより92度に
そのため88度で曲げ加工
スプリングバックで90度に
JIS規格とは
日本産業企画(旧:日本工業規格)、略称JIS(Japanese Industrial
Standards)とは、産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のことです。板を製造しているメーカーはJIS規格の元、平な板を製造しています。(鉄板の種類や製造方法で異なる)
しかし、その規格以下の公差にして欲しいという要望や溶接などで熱を与えた時の歪み取りをして欲しいという依頼も少なくありません。
森井鉄工所では、さまざまなご要望にもお答えし、プレス加工で板の歪み補正もしています。