曲げ加工技術
金属の基本的な加工方法の1つであり、製品の形状を作っていくうえで欠かせないのが曲げ加工です。
曲げ加工は、金型を使い、鉄板に大きな力を加えて目的の形に変形させる塑性加工で、ベンダー加工やベンディング加工、ベンダー曲げともよばれています。
板金加工やプレス加工の製造現場では、さまざまな方法で曲げ加工が行われています。
「鉄板の曲げ加工をお願いしたいけれど、どこに頼めばいいか分からない」
「設計で悩んでいる」
そんな時に役に立つ知識をご紹介しますので、ご参考に一読ください。
鉄板曲げ加工について
鉄板の曲げ加工は、作業者の技量に大きく依存します。
特に、平面状の板を立体化させる「曲げ工程」は、板金加工において最も技術的ノウハウが発揮されるところです。
鉄板を曲げる際に使用するプレス機は、ベンダーブレーキと呼ばれており、板金以外、管材加工においても使用されます。
曲げ加工では、ベンダーブレーキに上型(パンチ)と下型(DIE金型)を設置したあと、鉄板をプレスし曲げていきます。
さまざまな角度に曲げたり丸めたりと、板金製品や部品を形作るうえで非常に重要な加工です。
素材にかける圧力の調整や、金型の形状によって、思い通りの角度に曲げ加工が可能なため、多くの製品の加工に使われています。
鉄板の曲げ加工のメリットとして、比較的小さな部品の加工や、複雑な曲げ加工をすることも可能なため、大量生産は勿論、顧客のニーズに合った幅広い対応をすることができます。
その反面、加工できる鉄板の厚さは、一般的に板厚1mm~16mm程度と、制限があることが多いです。
しかし、森井鉄工所では、顧客の皆様からの様々なニーズに応えるべく、板厚150mmまでの加工が可能なプレス機を自社製作し、独自の技術を培ってきました。
これにより、他社では不可能な鉄板曲げ加工を行うことが可能。
今まで断念されていた製品開発の可能性を弊社の加工技術で拡げる事ができます。
規格外の鉄板加工を実現するため自社で作り上げた
オリジナルのプレス機
最大曲げ長 :6700mm
対応板厚 :16mm~150mm
他にもさまざまな鉄板曲げ加工に適したオリジナルのプレス機を取り揃えています。
森井鉄工所の設備をもっとみる曲げ加工に使用する
鉄板
曲げ加工で使用する金属は、主に軟鋼板・アルミ板・ステンレス板などが使用されています。
金属は、それぞれ特性を持っているので、その特性を理解しておくことで、より質の高い製品依頼をすることが可能です。
軟鋼板
軟鋼板は硬度や弾性が曲げ加工に最適な値で、曲げやすく加工しやすいため、さまざまな部品に加工されています。
耐食性や装飾性は他の素材に劣りますが、単価の安さから大量発注にも向いており、加工後のメッキ処理も多種多様にできることから、幅広い分野で活かされています。
アルミ板
アルミには柔らかい、粘り気が少ない、加工性に優れているという特徴があり、他に比べて比較的少ない圧力で加工することができます。
そして、何といってもアルミの最大の特徴は、重量が軽いところです。
鉄と比較しても約3分の1程の重さしかありません。
その軽さを活かし、機械の回転部品や製品の軽量化目的で多く使用されています。
ステンレス板
ステンレスは非常に耐食性が高く、さびにくい、熱に強い、硬いという3つの特性を持っています。
しかし、一般的に加工が難しいので、種類や特長をよく理解したうえで加工をする必要があります。
ステンレスは、その耐食性と耐熱性から、スプーンやフォークを初めとした家庭用品から、サッシや手すり、屋根、エレベータなど、私たちの暮らしを支える多くの場所で使われています。
高張力鋼板(ハイテン材)
高張力鋼は、普通鋼よりも軽くて丈夫で溶接性が高い鋼材です。
また、耐食性があるので、野外の建造物に使用して風雨にさらされる場合も、さびにくい特徴があります。
このため、高張力鋼は、自動車部品やクレーン車、原油タンクなど、強度を必要とするさまざまなものに使用されています。
特に、自動車部品としては、アルミニウムよりも軽量化できてコストを抑えることができるので、近年採用例が増えています。
耐摩耗鋼板
耐摩耗鋼板とは、摩耗性にすぐれた鋼板のことで、過酷な環境で使用する場合は、特に効果を発揮します。
耐摩耗性と強度があるため軽量化に貢献できる優れた鋼板ですが、鋼材が硬いため加工が困難で、熱をかけすぎるとその部分が鈍って、硬度等が低下する場合があります。
ブルドーザーやダンプトラック、油圧ショベルなど、衝撃や摩擦を受ける事の多い建設機械によく使用されています。
「高張力鋼板」や「耐摩耗鋼板」などの硬い素材は、一般的に曲げ加工は難しいとされています。
しかし、森井鉄工所では、独自の設備と技術で、これらのような硬い鋼板の曲げ加工も全て可能です。
その他、他社では難しい取れさている加工に対しても多くの解決策をご用意しております。
長い鉄板の加工
長くて大きい鉄板の曲げ加工は、重量や大きさが格段に増えることで、通常より難易度が増します。
作業に必要な人数が増えることで発生するチームワーク、専用治具やライン調整、均一な曲げを実現するための微細な加圧調整などが必要となるからです。
そのため、製品が大きく長くなればなるほど、加工したパーツを溶接でつなげて対応する事が一般的ですが、溶接は、高温や高圧によって母材に変形や歪みが発生したり、強度やコスト面でもデメリットがあります。
「分割でのみ対応可能です」と言われたことはありませんか?
森井鉄工所なら、自社で作り上げたオリジナルのプレス機と30年以上曲げ続けた職人技術で、L寸法6500mmの長さまで加工が可能です。
大きくて長い鉄板でも、分割・溶接不要な一枚板を作り上げる事で、トータルコストを抑え、見た目も美しく仕上げる事ができます。
曲げ加工の種類
異形角丸管
角部から丸部に通る軸心が偏っているような、通常の角丸管とは異なる形状の角丸管の事を指します。
コの字曲げ(浅い)
曲げた鉄板の断面が、カタカナの「コ」の字に見える事から呼ばれている加工方法です。
V字曲げ
V字形のパンチを使って鉄板を押し曲げる加工方法で、パンチの押し込み具合で曲げの角度を自由に変える事ができます。
Z曲げ
曲げた鉄板の断面が、アルファベットの「Z」に見える事から呼ばれている加工方法です。
偏芯テーパー曲げ
軸心が偏っているような、通常のテーパー管とは異なる形状にする曲げ加工です。
円錐形状
陣笠のような、円を底面として持つ 錐 ( きり ) 状にとがった形状に加工する方法で、陣笠曲げとも言われます。
箱曲げ
面の4辺を曲げて弁当箱のような箱型に曲げる加工方法です。四方曲げとも呼ばれています。
チャンネル(溝形鋼)曲げ
断面が「コ」形に近い形鋼で、形状を保ったまま曲げるのが難しく、経験や技術を必要とします。
ハット曲げ
4回の曲げ加工で帽子のような形状に曲げることをハット曲げといいます。
森井鉄工所の厚板
プレス折り曲げ加工
鉄板の曲げ加工でお悩みの際は、森井鉄工所までご相談ください。
他の加工所では困難な「高張力鋼板」や「耐摩耗鋼板」等の硬い素材も、極厚で長い鉄板も加工可能です。
さまざまな製品に対応したプレス機、規格外の鉄板加工を実現するため自社で作り上げたオリジナルのプレス機で、耐用に備えています。
また、後加工(溶接や機械加工)の目線を大切にしながらの丁寧な加工が特徴なだけでなく、溶接後の歪み取りも得意としており、さまざまなお客様からのご依頼を受け付けております。
私たち森井鉄工所は「不可能を可能にする」鉄板曲げの専門業者として、日々挑戦し続けています。