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耐摩耗鋼板とは?特徴とメリット・デメリットを解説

耐摩耗鋼板_テーパー管

耐摩耗鋼板は高い耐久性を特徴とする金属材料として、さまざまな用途に活用されています。

日本製鉄やSSABなどの有名メーカーから始まり、製造する企業が増加しています。

本記事では、そんな耐摩耗鋼板の特徴やメリットとデメリットを紹介していきます。

耐摩耗鋼板とは

耐摩耗鋼板とは、摩耗に強い性質を持つ鋼板です。

摩耗によって金属表面が削れにくいように硬く作られており、一般的な鋼板の数倍の耐摩耗性があります。

耐摩耗鋼板は、炭素鋼とクロムやバナジウムなどの金属の合金を使用して製造され、基盤となる鋼材の表面に合金層を形成することで耐摩耗性を付与しています。

代表的な耐摩耗鋼板には以下のようなブランドがあります。

・ABREX(日本製鉄株式会社)

・HARDOX(SSAB)

・エバーハード(JFEスチール株式会社)

耐摩耗鋼板は、建設機械や農業機械、工場設備などで使われるパーツとしてよく用いられています。

合金の種類によって性質が異なるため、用途に合わせて適切な耐摩耗鋼板を選ぶことが求められます。

耐摩耗鋼板の硬さの指標

耐摩耗鋼板は、硬さによって耐摩耗性のある金属材料に仕上げられています。

鋼板の硬さは、試験結果に基づいて決定される硬さの指標である「ブリネル硬さ」がよく使用されています。

ブリネル硬さは、直径10mmの超硬合金球で3トンの力を加えたときに生じた圧痕の直径を基にして定義されています。

一般的な耐摩耗鋼板において」は、ブリネル硬さ400~500のものが多いですが、他にも硬さの異なるさまざまな製品のラインナップがあります。

耐摩耗鋼板のメリット

ここでは、耐摩耗鋼板を用いるメリットをみてみましょう。

摩耗に強くて耐久性が高い

耐摩耗鋼板は、耐久性が高い製品が作れることがメリットです。

粉砕機や集塵機、ブルドーザーの排土板やショベルカーのバケットなどのように摩耗が頻繁に発生する部分は、弱ければすぐに部品の交換や補修が必要になります。

劣化した部分をつぎはぎしていると、機械の負担が増えて寿命を縮めるリスクもあります。

耐摩耗鋼板を使用すれば、すり減って薄くなりにくくなり長期間にわたって安定して使用可能になります。

薄く成形して軽量化しやすい

耐摩耗鋼板は、摩耗によってすり減りにくいので、薄く加工しても寿命を保てるのがメリットです。

耐摩耗性が低い鋼板の場合、厚みを持たせておかないとすり減って機械の性能が低下したり、穴が開いて故障したりする頻度が高くなります。

厚みによって重量が増えれば機械の負担が増え、燃料費も高くなりがちですが、耐摩耗鋼板であれば薄く成形して軽量化できます。

耐摩耗鋼板を使用すれば、摩耗のリスクが高い部分でも軽量設計が可能です。

修繕の作業やコストを減らせる

耐摩耗鋼板を使用することによって修繕の作業が減り、作業効率が向上します。

摩耗によって穴が開いてしまったときには作業を中断しなければならず、作業日程が遅れる原因にもなるでしょう。

修繕による作業負担やコストを抑えられるのが耐摩耗鋼板のメリットです。

耐摩耗鋼板のデメリット

耐摩耗鋼板は摩擦に強く丈夫なため上記のようなメリットがありますが、デメリットもあります。

ここからは、耐摩耗鋼板を利用する際の注意点を押さえておきましょう。

硬質で加工が難しい

耐摩耗鋼板は、硬くて加工が難しいことがデメリットです。

特に、切削加工や曲げ加工によって製品を製造するときに高い技術が求められます。

薄くして軽量化したい、薄くて硬い耐摩耗鋼板を精密に曲げたいといったときには、熟練の業者への依頼が必要となるでしょう。

溶接に技術を要する

耐摩耗鋼板には溶接性の高い素材もありますが、靭性が低くて割れやすい場合もあります。

耐摩耗鋼板は通常の鋼板に比べて靭性が低く、溶接温度が低いと割れることがあるので溶接のときの温度管理には注意が必要です。

また、反対に加熱しすぎると表面を覆っている合金が酸化したり、基盤の鋼板と混ざり合ったりして硬度が低下するリスクもあります。

このようなトラブルを起こさないためには、適切な温度管理をして溶接することが重要です。

まとめ

耐摩耗鋼板とは、摩耗によってすり減りにくいように作られた合金の鋼板です。

耐摩耗性を高めるために、表面に合金層を形成して硬い素材に仕上げています。

材料を薄くして軽量化しても耐久性が高いといったメリットがあるため、摩擦が多いパーツの製造に適している鋼板です。

硬い素材なので加工が難しいですが、弊社では耐摩耗鋼板の曲げ加工の実績があります。

耐摩耗鋼板の利用をご検討の際にはぜひご相談ください。