ハット曲げとは?曲げ方の特徴と技術的要求が大きい理由を解説
ハット曲げは、金属板の加工でよく用いられています。
技術的要求が大きい曲げ加工ではあるものの、用途が広くニーズも高い方法です。
この記事では、ハット曲げの特徴や技術的要求が大きい理由も解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
ハット曲げとは
ハット曲げとは、ハット(帽子)の形状に金属板を成形する曲げ加工です。
帽子にもいろいろな形状がありますが、ハット曲げでは英国の紳士が被っていたハットをイメージしています。
全体的に四角い形状をしていて、帽子のつばも本体から直角に出ている形の帽子です。
ハット曲げは4か所の曲げ加工で、用途が広いことからよく用いられています。
コの字曲げとの違い
コの字曲げは、ハット曲げに近い形状を持っています。
コの字とハット曲げの違いは、ハットのつばに当たる部分があるかないかです。
コの字曲げでは、つばのないハットにする形の2回曲げの加工をしますが、さらにコの字の先端部分を外側に曲げる加工をするとハット曲げとなります。
C型曲げとの違い
C型曲げもハット曲げに近い曲げ加工です。
4か所曲げという点ではC型曲げもハット曲げも同じですが、曲げ方に違いがあります。
コの字曲げをしたときの先端部を曲げる方向が、C型曲げとハット曲げでは正反対です。
C型曲げではコの字の内側に先端部を曲げますが、ハット曲げでは先端部を外側に曲げます。
C型曲げは全体をコンパクトにできます。
しかし、ボルトで留めるときにはハット曲げの方が締めやすく便利です。
形状によって強度にも違いが出るので、ハット曲げをするときにはC型曲げとの比較検討をした方が良いでしょう。
ハット曲げの特徴
ハット曲げは、金属板の用途範囲が広いのが特徴です。
金属板の曲げ加工には他にもいろいろな方法がありますが、ハット曲げは形状が特殊なのでニーズが高い曲げ方です。
L曲げやV曲げなどの他の加工方法とは違う特徴を紹介します。
補強材としての用途が多い
ハット曲げをした金属板は、補強材としてよく用いられています。
ハット型に成形した金属パーツは、帽子のつばに当たる部分に穴を空けてボルトで留めるといった使い方ができるからです。
離れた位置にある2つの部品をつなぎ留めて固定し、安定させる補強材としてハット曲げをした金属板が役立ちます。
カバーとしての役割を果たせる
ハット曲げをするとトンネルのような形状になります。
このトンネルを通してケーブルなどのカバーにする用途でもよく活用されています。
カバーとして頑強な構造を作れるのは、ハット曲げをした金属板のメリットです。
大きさも自由に調整できるので、精密機械から住宅まで幅広くハット曲げの製品が用いられています。
ハット曲げの技術的要求が大きい理由
ハット曲げは、曲げ加工の経験がある業者でも品質を上げられずに苦労することがあるほど技術的要求が大きい加工です。
なぜハット曲げがそれほど難しいのかを確認しておきましょう。
目的・用途に応じて板厚や寸法を決める必要があるから
ハット曲げは、目的や用途に応じて金属板を選定するところからプロの目利きが必要です。
ハット曲げでは加工によって5つの面ができます。
それぞれの面で求められている面積や、全体として必要な強度などを加味して板厚や寸法を選ばなければなりません。
経験が十分にないと適切な材料を選べず、目的や用途に合う製品ができるまでに多くの試行錯誤が必要になります。
機械の性質を理解して設計しなければならないから
ハット曲げでは、曲げ加工に使用している機械の性質を熟知していないと設計ができません。
機械の性質によって、ハット曲げをするときの金型の溝の深さに限界が生じることがあります。
金型の組み合わせと機械の性質を考慮して、干渉によるトラブルが起こらないよう設計することが必要です。
精密設計が求められるから
ハット曲げでは板厚によって寸法が変わる点も考慮して、設計時点から緻密に考えて金属板の寸法を決めることが必要です。
1度の加工で4か所を同時に曲げるため、寸法を厳密に計算して金型を設計することが求められます。
ハット曲げの経験が浅ければ、設計時点でうまくいかない場合があります。
まとめ
ハット曲げは、英国で昔から知られている帽子(ハット)の形状に金属板を成形する曲げ加工です。
4か所を曲げてハットのつばの部分を作り、つばのところを使ってボルトで留めるといった用途で使われます。
ハット曲げを行う際は精密設計が必要で、目的や用途に応じた金属板の選定も必要です。
ハット曲げ加工の必要がある場合は、実績ある業者に相談しノウハウに基づく的確な対応を受けることが重要になります。
弊社は、ハット曲げにおいても多くの加工実績がありますのでぜひご相談ください。