テーパー管とは?曲げ加工の難易度の高さと加工事例を紹介
テーパー管は傾斜があるパイプで、配管によく用いられています。
同じ径のパイプで配管できると効率的ですが、実際には接続先に合わせた径に調整しなければならないことがよくあります。
テーパー管は、径が異なる接続先の橋渡しとして活用されているパイプです。
この記事では、テーパー管の特徴と曲げ加工によるテーパー管の生産の難しさについて解説します。
テーパー管とは
テーパー管とは両端の断面積が異なるパイプです。
円形管を例にすると、一端の半径が6cmであることに対して、他端の半径が10cmとなっている場合にはテーパー管に該当します。
一方、両端の半径が同じであるのが一般的なパイプで直線的な構造になっています。
テーパー管は勾配を設けることによって、入口と出口の断面積が用途に合うように設計することが求められるパイプです。
テーパーとは
テーパーとは、太い径から細い径の部分に向かう角度を持った形状を指します。
テーパーは英語の「taper」に由来していて、先細りするという意味を持ちます。
テーパーの角度が大きいときにはテーパーがきつい、角度が小さいときにはテーパーが緩いといった表現をするのが一般的です。
テーパーと勾配の違い
テーパー管の設計では、テーパーと勾配の意味の違いを理解することが必要です。
テーパーを付けるときには、基本的に対象物について両側に均等な傾斜を付けます。
テーパー管では中心軸に対して右側と左側で同じ傾斜にします。
例えば30度のテーパーを付けるときには、左右で15度の傾斜を付けるのが一般的です。
勾配は全体の均一性は関係がなく、個々の傾き具合を指します。
右側あるいは左側だけ15度の勾配を付けたときには、勾配を表現するのが通例です。
中心軸に対して右側にだけ15度の傾斜を付けるときには、テーパーではなく勾配を付けると表現します。
テーパー管の基本的な製造方法
テーパー管の製造では、入口と出口の径が異なることを考慮して設計する必要があります。
原料の金属板は、台形にしてプレスによるパイプ加工をするのが一般的な方法です。
上底が短く、下底が長い台形の金属板を丸型に成形すると、台形の上底が細い管、下底が太い管を形成します。
製品としては円錐形のパイプになります。
テーパー管の曲げ加工とパイプ曲げとの違い
テーパー管の曲げ加工はパイプ曲げの一種です。
一般的なパイプ曲げでは長方形または正方形の金属板を使用します。
金属板の両端の長さが同じなので、完成したパイプは両端の径が同じになります。
しかし、テーパー管を製造するときには、両端の径を変えることが必要です。
テーパー管では台形の金属板を使用するのが基本ですが、曲げ加工のときに全体に均一な圧力を加えて曲げれば良いわけではありません。
勾配の大きさや金属素材の性質に合わせて加工することが求められます。
テーパー管の曲げ加工が難しい理由
テーパー管の曲げ加工は、高度な技術と豊富な経験が求められます。
ここではテーパー管の曲げ加工が難しい理由をまとめました。
パイプ曲げとの比較結果も踏まえて、どのような難しさがあるのかを見てみましょう。
用途に応じた設計が必要だから
テーパー管は太いパイプと細いパイプをつなぐ役割を果たすパーツなので、用途に合わせて両端の径を適切に設計することが必須となります。
うまくつなげるように距離や曲がり具合も細かく設計しなければなりません。
オーダーメイドでの設計・製作が必要なので、十分な経験がないとテーパー管を加工することは困難です。
多様なテーパー技術とサイズへの対応が求められるから
テーパー管はさまざまな現場で使用されていて、多様なテーパー技術とサイズへの対応力が要求されます。
極太のパイプから極細のパイプに接続するテーパー管が欲しいという要望もあります。
またテーパーの傾斜が大きすぎて難しい、テーパー管のサイズが大きくて対応できないという場合もあります。
パイプに流すものは何か、強度に問題はないかといったことを詳しく確認して製作することも必要です。
テーパー管の製作では個別の需要に合致させる必要があるので、特に精密な曲げ加工の技術が求められます。
テーパー管の加工事例
テーパー管
極厚テーパー管
耐摩耗鋼板_テーパー管
まとめ
テーパー管は両端の断面積が異なり、傾斜が付けられている形状のパイプです。
精密に設計して金属板を曲げ加工することでテーパー管を製造しています。
テーパー管は用途に応じて精密に設計し、適切な技術を使用して仕上げる必要があります。
曲げ加工の技術がなければ精巧なテーパー管を作ることはできません。
弊社では様々なテーパー管を多数手掛けてきた実績があります。
テーパー管の製造・加工の際にはぜひご相談ください。