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鉄と鋼の違いは?鋼の種類と合わせて解説

テーパー管

鉄(てつ)と鋼(はがね)の違いについてご存知でしょうか?

鉄と鋼はどちらも主成分が「鉄(Fe)」である金属素材ですが、明確に違いがあります。

この記事では、金属加工でよく使用される鋼の種類と合わせて、鉄と鋼の違いや特徴を紹介します。

鉄と鋼の違い

鉄と鋼の違いはさまざまな角度から比較できます。

ここでは4つの観点から鉄と鋼の違いを見ていきましょう。

単体か合金か

鉄と鋼は、物理的・化学的には単体か合金かという違いがあります。

鉄は純粋な金属の単体であり、鋼は鉄を主成分とする合金です。

厳密に言えば、自然界に存在する鉄にも炭素などの不純物が含まれていますが、金属素材としての鉄は精錬によって純度を高めた状態の素材です。

一方、鋼は鉄に炭素や微量のマンガンなどを加えて作られています。

炭素量

鉄と鋼では炭素量が異なります。

鉄は精錬によって炭素量を0.02%未満に減らしていますが、鋼では0.02%〜2%前後の炭素を加えて合金にします。

鋼は炭素量の調節によって物性を変化させることができるため、目的に合わせた特性を持つ鋼を調製することが可能です。

硬度

鉄と鋼では硬度が異なるため、強度や靭性に差があります。

鉄は比較的柔らかく、靭性が高いですが強度が低いのが特徴です。一方、鋼は強度が高く靭性が低いのが特徴です。

鋼は炭素量を増やすことで硬度を高めますが、炭素を増やし過ぎると折れやすくなります。そのため、適切な炭素量で硬度と靭性のバランスを調整することが重要です。

加工性

鋼は鉄に比べて加工性が優れています。純度が高い鉄は加工が難しいため、ほとんどの金属加工では使用されていません。

鋼にすることで適度な強度と靭性を持つ素材にし、さまざまな加工に耐えられるようにしています。

さらに、鋼にすることで耐腐食性、耐疲労性、耐摩耗性などの加工性に関わるパラメーターも改善されます。

鋼の種類と違い

純粋な鉄は一種類しかありませんが、鋼には合金によってさまざまな種類があります。

鋼の種類によって性質に違いが生じるので、用途に合わせて使い分けることが大切です。

炭素鋼と合金鋼の違い

鋼はまず炭素鋼と合金鋼に分けられます。

炭素鋼は鉄と炭素から成る素材で、精錬した鉄に炭素を適量加えて硬度や加工性の異なる炭素鋼が製造されています。

合金鋼は炭素鋼に対して、マンガン、リン、硫黄などの別の元素も加えて作られた合金です。

合金にする元素の種類と量によって物性を調節できます。

SS材・SC材・SM材の違い

鋼材ではSS材、SM材、SC材がよく用いられています。

ここでは3種類の鋼材について特徴と違いを見ていきましょう。

SS材

SS材とは、一般構造用圧延鋼材と呼ばれる汎用の炭素鋼鋼材です。

炭素量が0.1%~0.3%程度の低炭素鋼で、「SS○○」という規格が定められており、○○の部分は引っ張り強さの下限を示しています。

SS300、SS400、SS490、SS540などの種類があり、基本的に引っ張りや伸びに影響する靭性の物性によって規格されているのが特徴です。

SC材

SC材とは、機械構造用炭素鋼鋼材で、炭素量が0.1%~0.6%程度の低炭素鋼または中炭素鋼です。

「S○○C」という規格が定められており、○○の部分に炭素の含有量を表記します。例えば、「S45C」であれば0.45%の炭素量の炭素鋼です。

SC材は炭素の含有量で規格が定められているため、硬度に焦点を置いているのが特徴です。

SM材

SM材とは、溶接構造用圧延鋼材と呼ばれる溶接に適した物性を持つ鋼材です。

SM材は靭性を高めることで、溶接しやすい特性を持っています。

「SM○○(A/B/C)」として規格が定められており、○○は引っ張り強さの下限を示します。

A、B、Cはシャルピー吸収エネルギーによって区別され、Aは規定なし、Bは27以上、Cは47以上です。

シャルピー吸収エネルギーが高いほど靭性が高くなり、例えば、SM400A、SM400B、SM490Aなどの規格があります。

SM材は合金鋼が一般的で、炭素だけでなくケイ素やマンガンなどを配合し、溶接しやすい靭性を持つ素材にしているのが特徴です。

まとめ

鉄と鋼は炭素量が異なります。

鋼は炭素量を調整することで硬度などの物性を変化させ、加工性を向上させることができます。

鋼には、炭素量や配合される微量元素の種類や量が異なるさまざまな種類があります。

金属加工では、鋼の種類ごとに特性に合わせた加工を施すことが重要です。

弊社ではさまざまな種類の鋼の曲げ加工に対応してきた実績がありますので、曲げ加工をご検討の際にはぜひお気軽にご相談ください。