耐摩耗鋼板(ABREX・HARDOX)の曲げ加工は可能?断られる理由と解決策

耐摩耗鋼板の曲げ加工でお困りではありませんか?
「耐摩耗鋼板にしたいが、曲げ加工ができる業者が見つからない…」
最近、このようなご相談が増えています。
セメントや粉体設備、搬送装置など、摩耗の激しい用途では、
従来の高張力鋼板(ハイテン鋼)から耐摩耗鋼板(ABREX・HARDOX)への切り替えが進んでいます。
しかし実際には、
- 「曲げ加工は対応できません」と断られる
- 「割れるリスクが高い」と言われる
- 加工できる業者が見つからない
といった“加工の壁”に直面するケースが少なくありません。
本記事では、
- なぜ耐摩耗鋼板の曲げ加工が難しいのか
- なぜ他社では断られるのか
- どうすれば安全に曲げられるのか
を、現場ノウハウと実例をもとに分かりやすく解説します。
耐摩耗鋼板の需要が増えている理由
近年、設備設計において耐摩耗鋼板の採用が増えています。
特に、
- タンク内の攪拌設備
- 粉体搬送設備
- サイクロンなどの集塵装置
といった用途で顕著です。その理由は明確で、「 耐久性が非常に高いこと」
従来の高張力鋼板と比較すると、耐摩耗鋼板は約2〜3倍の耐摩耗性能を持ちます。
その結果、
- 摩耗による交換頻度が減る
- 設備の長寿命化
- 交換工事費の削減
「トータルコストの低減につながる」というメリットがあります。
ただし現在は「試験的に採用する段階」の企業も多く、「加工できる業者が限られている」という課題があります。

HARDOXとABREXの違いは?
HARDOX(ハルドックス)とABREX(アブレックス)は、いずれも耐摩耗鋼板の代表的なブランドです。
- HARDOX:スウェーデンの SSAB
- ABREX:日本の 日本製鉄
が製造しています。
硬度や耐摩耗性といった基本性能は同等クラスであり、設計上は同様の材料として扱われるケースが多いです。
一方で、国内での流通や調達のしやすさという点では違いがあり、ABREXは国内メーカー製であるため、安定した供給や加工相談のしやすさというメリットがあります。
例えば、クマガイ特殊鋼のような専門商社を通じて、材料調達から加工まで一貫して相談できる体制が整っている点も、国内で採用されやすい理由の一つです。
なぜ耐摩耗鋼板の曲げ加工は断られるのか
最大の理由は、「 設備能力とリスクの問題です」
一般的な500tクラスのプレス機では、
- 計算上は曲げられる場合でも
- 実際には出力がギリギリ
というケースが多くなります。さらに耐摩耗鋼板は、
- 材料単価が高い
- 失敗すると再製作コストが大きい
- 割れのリスクがある
ため、「 加工業者にとってリスクが非常に高い材料」です。
その結果、「できない」ではなく「リスクが高いため断られる」
というのが実情です。
なぜ森井鉄工所では加工できるのか
森井鉄工所では、「 設備力 × ノウハウ × 安全管理」の3つによって、耐摩耗鋼板の曲げ加工に対応しています。
■ 1200tフルフレームプレス機による圧倒的な加圧力
当社では、自社製の1200tフルフレームプレス機を保有しています。
これにより、
- 出力に余裕を持った加工が可能
- 無理な加工を避けられる
- 安定した精度を確保
が実現できます。
理論上は、「板厚50mmクラスの耐摩耗鋼板にも対応可能」です。

■ 圧延方向を考慮した最適R設計
耐摩耗鋼板の曲げ加工で最も重要なのが、「圧延方向(ロール目)」です。
詳細はこちらの記事をご確認ください。
■ なぜ割れるのか
圧延方向に沿って曲げると、材料内部の組織に沿って引き裂く力が働き、
設計ミスによる破断リスクが高まります
図面段階での確認不足が割れの原因になります
当社では、
- 材料発注時点で圧延方向を確認
- 割れないRの算出
- 加工条件の最適化
を行い、安全な加工を実現しています。
■ 厚板特有の「割れ」リスクと安全管理
耐摩耗鋼板は、限界を超えると「曲がるのではなく突然割れる」という特性があります。
しかも、
- 高い圧力がかかった状態で破断
- 鉄板が跳ねる
重大事故につながるリスクがあります。
そのため現場では、
- 母材の上に手を置かない
- 作業位置の徹底管理
- 安全ルールの厳守
など、厳格な安全管理を行っています。
加工事例
関連する加工技術・事例
曲げ加工の精度や材質ごとの違いについては、下記の記事でも詳しく解説しています。
耐摩耗鋼板の曲げ加工でお困りの方へ
もし、
- 他社で断られている
- 図面はあるが加工できるか不安
- R設定に自信がない
といった場合でも問題ありません。
図面(PDF・手書き可)をお送りいただければ、加工可否と最適な条件をご提案します。
設計段階からのご相談も可能です。お気軽にお問い合わせください。