
ハイテン鋼・コルテン鋼・ウェルテン鋼(高張力鋼板)とは?特徴やプレス加工の事例を紹介

「軽くて強い」素材が求められる時代へ。
近年、自動車をはじめとする輸送機器業界では、「軽量化」と「安全性の両立」が求められています。環境負荷を減らすために燃費性能を高めたい。でも、衝突安全性能は犠牲にできない。その両立のカギを握る素材として、いま「ハイテン鋼・コルテン鋼・ウェルテン鋼 (高張力鋼板) ※以下 ハイテン鋼」が大きな注目を集めています。
ハイテン鋼は、通常の鋼板に比べて強度が高く、同じ強さなら薄く・軽くできるという特徴があります。これにより、自動車のボディや部品を軽量化しながら、衝撃への耐性もしっかり確保することが可能です。また強度が強いため、ライニング材としても利用されています。
しかしその反面、「加工が難しい」「割れやすい」「反りやすい」といった技術的な課題も。
本記事では、そんなハイテン鋼の特徴とメリット、加工時の注意点までを、現場視点でわかりやすく解説していきます。
ハイテン鋼・コルテン鋼・ウェルテン鋼 (高張力鋼板)の特徴
ハイテン鋼は、高炭素鋼にシリコン(Si)・マンガン(Mn)・チタン(Ti)などの成分を添加した合金鋼です。
”High Tensile Strength Steel”を略した名称で、日本語では「高張力鋼板」とも呼ばれます。
ハイテン鋼に明確な定義は存在しませんが、一般的に500N/mm2以上の引力強さを持つ合金鋼をハイテン鋼と呼び、非常に高い強度が求められる車体や原油の燃料タンクなどの素材として使用されることも多いです。
ハイテン鋼のメリット
ハイテン鋼のメリットは以下の通りです。
・軽量化することができる
・大量生産できる
・低コストかつ安価
・耐食性がある
・引力強さが高い
・熱による硬化が少ない
このように、さまざまなメリットを持っているハイテン鋼は非常にニーズが高く、生産する技術の発展は著しいものがあります。
ハイテン鋼のデメリット
ハイテン鋼のデメリットは以下の通りです。
・加工が難しい
・金型の維持管理が必須
ハイテン鋼は非常に強度が高いことから、プレス加工やベンダー曲げなどで成形するための強度の高さが求められるため、金型の強度や不具合が生じる前のメンテナンスは欠かせません。
また、現状の形状を保とうとする性質を持っているため、形状によっては割れやクラックなどのトラブルが生じることもあるため、形成時の環境構築には注意する必要があります。
森井鉄工所では、ハイテン材の曲げ加工にも対応しています。
加工の可否や相談などお気軽にこちらからご連絡ください。
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ハイテン鋼の需要が高まっている理由
ハイテン鋼は軽量化できるにも関わらず高い強度を持っているため、なかでも車の車体として需要が非常に高まっています。
自動車業界では燃費向上が長年の課題となっていますが、軽量化かつ強度の硬いハイテン鋼を車体に利用することで、車自体の重量を軽くすることができ、その結果として燃費の向上に繋がるのです。
車体にハイテン鋼が使用されるようになったのは、シャシーとボディが一体で作られている「モノコック構造」が車に採用されてからですが、現代の乗用車のほとんどがこのモノコック構造で作られているため、自動車業界ではハイテン鋼は一般的な素材として知られています。
ハイテン鋼の加工の難しさ
先ほどもお伝えしたとおり、ハイテン鋼は強度が高いゆえに加工がしにくいという特徴があり、プレス加工やベンダー曲げなどでの成形時にシワ、割れ、うねりなどが発生してしまうケースがあります。
CAEソフトによる解析・シミュレーション(CAE解析)やスプリングバックの制御によって上手に加工することができますが、それでも加工のプロでなければできない技です。
ハイテン鋼の加工の工夫
上記で上げたように、加工の難しさ、割れやすい、反りやすいとった問題が生じますが、森井鉄工所では下記3つの理由で加工を可能にしています。
- ハイテン鋼など硬い板は一定の内Rを設けて、割れることを防いでいます
- 豊富な種類の金型を所有しいるため、あらゆる板厚でも曲げ加工が可能
- 圧力の高いプレス機を使っている
簡単でありませんが、需要が高まる中、長年の実績と充実した設備面で対応を可能にしています。
森井鉄工所の加工事例
まとめ
本記事では、ハイテン鋼・コルテン鋼・ウェルテン鋼(高張力鋼板)の特徴やメリット・デメリット、需要が高まっている理由、森井鉄工所での加工事例について詳しく紹介しました。
ハイテン鋼はさまざまなメリットがある一方で、加工しにくいという大きなデメリットがあるため、取り扱えない加工メーカーも多いですが、森井鉄工所であれば問題なく加工することができます。
ハイテン鋼の加工は森井鉄工所にご相談ください。