2DCADと3DCADの違いを徹底比較!

製造業のデジタル化が進む中、設計ツールとしてのCADの重要性が高まっています。
特に近年は2D CADから3D CADへの移行が加速していますが、それぞれにどのような特徴や違いがあるのでしょうか。
金型設計をはじめとする製造現場での活用を想定し、2D CADと3D CADの違いを詳しく見ていきましょう。
2DCADとは?
2D CADは、主に正面図、平面図、側面図という3つの視点から設計対象を描くソフトウェアです。
各視点は、x軸(横方向)、y軸(縦方向)、z軸(奥行き)に基づいた平面に投影されます。
ただし、2D CADではz軸(奥行き)の情報は直接的には扱わず、各視点を組み合わせることで立体的な関係を間接的に表現します。
そのため、立体的な形状を完全に再現することは難しいですが、設計対象を簡潔に、効率よく図面化することが可能です。
このような特徴から、製造業や建築業などで基礎的な設計に広く用いられています。
2DCADのメリット
2D CADは、3D CADと比較して導入コストが低く抑えられる点が大きなメリットです。
必要とされるPC性能も高くなく、一般的なスペックのPCでも十分に動作するため、小規模な事業所や予算が限られている現場でも気軽に導入できます。
また、操作が手描きの製図に近い感覚で行えるため、CAD初心者でも短期間で基本的な操作を習得できる点も優れています。
シンプルな設計や少量の図面作成が必要な場面において、2D CADは効率的で扱いやすい選択肢と言えます。
2DCADのデメリット
2D CADでは、設計対象を平面上で表現するため、立体的な視点を持つことができません。
そのため、部品同士の干渉やレイアウトの不整合が発生しやすくなります。
また、設備の設計段階で行われる稼働データのシミュレーションや検証にも限界があります。
立体的な動作や配置を再現できないため、設計に必要なデータの取得や検証が十分に行えず、不具合を見逃してしまうことがあります。
修正作業や設計のやり直しが必要となることで、コストの増加や納期の遅延リスクがあるのが2DCADのデメリットです。
3DCADとは?
3D CAD(3次元CAD)は、立体的な設計や製図を行うためのソフトウェアです。
X軸(横方向)、Y軸(縦方向)、Z軸(奥行き)の3次元座標を使って形状を構築し、設計対象を立体的に視覚化できるのが特徴です。
立体モデルは任意の角度から確認でき、細部の確認や全体像の把握が簡単になるため、設計や製造のミスを未然に防ぐ効果もあります。
3D CADは詳細なモデル作成だけでなく、動作シミュレーションや構造解析、部品の干渉チェックにも対応しており、製品デザインや大規模プロジェクトにおいて広く活用されています。
3DCADのメリット
3D CADのメリットは、立体的な情報を扱える点にあります。
設計検証や干渉チェックが容易になり、部品同士の干渉や組み立て時の不具合を事前に確認できます。
3D CADでは、作成した3Dモデルから自動的に2D図面を生成できるので、図面作成の手間が省かれ、作業効率が向上します。
また、設計変更にも柔軟に対応できるのも大きなメリットです。
3Dモデルを変更すれば、それに連動して関連する図面が自動的に更新されるため、再作成の必要がなく、変更作業が効率的に進められます。
3DCADのデメリット
3D CADにはいくつかのデメリットは、ソフトウェアの価格が高額であることと、動作させるためにハイスペックなPCが必要になる点が挙げられます。
初期導入コストが大きくなりがちなので、特に小規模な企業や個人ユーザーにとっては負担が大きくなる場合があります。
さらに多機能であるがゆえに学習曲線が急で、操作を習得するまでに時間がかかります。
どちらを選ぶべき?用途別おすすめのCAD
2D CADと3D CADは用途別に使い分けることが重要です。
主な違いを表にまとめました。
2DCAD | 3DCAD | |
---|---|---|
次元 | 平面(2次元) | 立体(3次元) |
視覚化 | 平面的で複雑さを理解しづらい | 任意の角度から確認可能 |
操作性 | シンプル | 複雑で多機能 |
用途 | 初期設計や簡単な部品 | 詳細設計やシミュレーション |
メリット | コストが低く直感的 | 設計検証や干渉チェックが容易 |
デメリット | 管理が煩雑で複雑な設計には不向き | 高コストと学習曲線が急 |
両者の得意分野を理解し、目的に応じて適切な選択を行うことで効率的な設計が可能になります。
簡単な図面作成や初期段階の設計、建築図面の作成には、2D CADが向いています。
複雑な製品設計や動作シミュレーション、解析、干渉チェックを伴う設計には、3D CADが適しています。
試作前の図面作成では、作業内容に応じて2D CADと3D CADを使い分けることも可能です。
初期段階では2D CADで手軽に作成し、詳細な検討が必要な段階では3D CADを活用することで設計プロセスを効率化できます。
まとめ
2D CADと3D CADは、それぞれ異なる特性と強みを持っています。
小規模で単純なプロジェクトや、コストを抑えたい場合には2D CADが適しており、簡易的な図面作成や初期段階の設計に活用できます。
大規模で複雑なプロジェクトや、精密な設計、動作シミュレーション、干渉チェックなどを必要とする場合には3D CADが有効です。
用途や目的に応じて適切なCADを選ぶことで、効率的かつ高品質な設計が可能になります。