溶接とは?どんな種類があるのかをわかりやすく解説

溶接は製造業や建設業をはじめ、ものづくりに欠かせない技術です。
溶接と聞くと、溶接面を装着しながら火花を散らして作業するイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際には他にも手法が存在し、それぞれに特徴があります。
この記事では、溶接の基本的な原理、代表的な手法、具体的な用途や活用分野について解説します。
また、安全性を確保するための注意点や溶接に関連する資格についても詳しく説明します。
溶接とは?
溶接は、2つ以上の母材(接合する材料)に熱や圧力、またはその両方を加えて一体化させる技術です。
簡単に言うと、金属同士をくっつけることです。
一般的には金属を溶かして接合しますが、加熱せずに圧力だけで結合する方法も存在します。
溶接の仕組み
溶接によってなぜ金属が接合されるのでしょうか?
以下に溶接方法別に金属がくっつく仕組みを解説します。
溶加材の使用(ろう接)
溶加材を使用するろう接では、溶接棒やワイヤーといった溶加材を接合部に補充します。
溶加材は接合部に追加されることで、金属同士の結合部分に新たな材料を加え、隙間を埋める役割を果たします。
冷却・固化の過程で、溶加材と母材の原子が混ざり合い、「金属結合」と呼ばれる原子レベルでの結びつきが形成され、接合部の強度が向上します。
熱を利用した方法(融接)
熱を利用した融接では、高温を加えることで接合部の金属自体を溶かし、互いに混ざり合います。
例えば、アーク溶接やレーザー溶接では、電気アークやレーザー光によって接合部に高温が集中し、金属が溶融します。
溶けた金属が冷却される際に再結晶し、「金属結合」が形成されることで、母材同士が一体化します。
圧力を用いる方法(圧接)
圧接では圧力によって金属表面が密着し、金属表面の不純物や酸化膜が除去され、純粋な金属同士が接触します。
原子同士が近づき、物理的または化学的な結合が形成されます。
溶接の種類
溶接は、上述の仕組みに基づき、主に以下の3つに分類されます。
融接(熱利用)
融接には、以下のような手法があります。
アーク溶接
アーク放電現象を利用して高温(約5,000~20,000℃)を発生させ、金属を溶かして接合します。
高融点の金属の接合にも適しており、広範囲に利用されています。
ガス溶接
アセチレンやプロパンなどの可燃性ガスと酸素を混合して燃焼させ、金属を溶かして接合します。
装置がシンプルなため、小規模な作業や修理に向いています。
レーザー溶接
レーザー光を集中的に照射して金属を溶かし接合します。
精密部品や薄い金属板の溶接に適しています。
圧接(圧力利用)
圧接には、以下のような手法があります。
抵抗溶接
母材に電流を流し、その際に発生する抵抗熱と圧力を利用して接合します。
ガス圧接
熱と圧力を組み合わせて接合します。
加熱と圧縮により金属の表面が塑性変形し、原子間結合が形成されます。
摩擦圧接
母材を高速で回転または振動させて摩擦熱を発生させ、その熱と圧力で接合します。
ろう接(ろう付け)
ろう接には、以下のような手法があります。
ろう付け
融点450℃以上のろう材を溶かし、母材間に流し込んで接合します。
接合部が強固で密閉性が高くなるため、配管や冷却システムなどに使用されます。
はんだ付け
融点450℃未満のろう材(はんだ)を使用して接合します。
電子部品の配線や基板の接合に多く用いられ、精密な作業が求められる分野に適しています。
溶接の注意点
溶接作業は火花や高温、有害ガスの発生を伴うため、作業者の安全を確保することが重要です。
以下に、溶接作業を安全に行うための具体的な注意点を説明します。
換気の確保
溶接中には有害なガスや煙が発生する可能性があります。
吸い込むと健康被害を引き起こす恐れがあるため、適切な換気が必要です。
保護具の着用
火花や紫外線から身を守るために、適切な保護具を着用することが必要です。
保護具の例
- 防護服
- 保護メガネや溶接面
- 手袋
- ヘルメット
- 耳栓
- 安全靴
引火物の管理
火花や高温による火災を防ぐため、作業エリアに可燃性の物は置かないことです。
消火器やその他の消火設備を常備し、すぐに使用できる状態にしておきます。
資格や講習
溶接は専門的な知識と技術が求められる作業です。
資格取得や講習を受けることで、事故防止と溶接品質の向上が期待できます。
溶接に関する代表的な資格には、以下のようなものがあります。
溶接技能者評価試験
溶接技能を評価する民間資格で、溶接作業に必要な技術を証明するものです。
試験に合格することで溶接作業に従事するための技能が認められます。
溶接管理技術者
溶接作業全体の計画、監督、品質管理を行うための資格です。
取得することで、溶接に関連するプロジェクトを管理する能力が認められます。
1級溶接管理技術者、2級溶接管理技術者、特別級の等級があります。
まとめ
今回は、溶接について解説しました。
一口に溶接と言っても、用途や目的に応じた手法が存在します。
今後も技術の進化とともに、より効率的で安全な溶接技術の開発が期待されています。