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Z曲げとは?加工方法や注意点について

金属加工の一つに「Z曲げ」と呼ばれる手法があります。

Z曲げとは、金属板材を曲げ加工する際に、横から見た断面がZ字型になるように仕上げる方法です。

また、Z曲げは「裏曲げ」や「段曲げ」と呼ばれることもあります。

この記事ではZ曲げの特徴や加工方法、注意点について詳しく解説します。

Z曲げ(曲げ戻し)の加工方法

Z曲げは主に2つの加工方法があります。

2工程加工

2工程加工は、プレス機を使用してV曲げをしたものを裏返し、もう一度曲げることでZ字形状を作る方法です。

板材の位置決め精度が仕上がりに大きく影響するため、熟練者の技術や経験が求められます。

1工程加工

1工程加工は、専用の金型を使用して一度の操作でZ字形状を完成させる方法です。

条件によっては汎用の金型で対応できることもあります。

Z曲げ加工時の注意点

ここでは、Z曲げ加工で気を付けるべき点と対策について解説します。

スプリングバック

曲げ加工全般に言えることですが、Z曲げ加工においても「スプリングバック」に注意しなければなりません。

スプリングバックは、曲げ加工後に金属が元の形状に戻ろうとする力(弾性変形) によって、意図した角度と実際の仕上がり角度にズレが生じる問題です。

スプリングバックを抑えるためには、材料特性の把握が重要です。

使用する金属の弾性や硬度、さらには靭性を理解した上で適切な加工条件(力、速度、曲げ半径)を設定する必要があります。

金型を使用する場合はスプリングバックを予測し、仕上がりを考慮した角度に設計することでズレを補正できます。

割れ・クラック

割れやクラックは、製品の耐久性や品質を損なう深刻な問題です。

この問題は、曲げ半径が小さすぎたり、材料の特性や圧延方向と曲げ方向の関係が原因で発生することが多々あります。

対策として重要になるのが、板厚に応じた適切な曲げ半径の設定です。

材料の圧延方向を考慮し、可能な限り圧延方向に対して垂直に曲げ加工を行うことで、割れのリスクを軽減できます。

また、加工条件の調整も重要となります。

適切な曲げ速度や加圧力を選べば、材料にかかる負荷を抑えられます。

加工する材料によっては加熱処理を行うことで延性を高め、割れの発生を防げることもあります。

ただし、素材によっては逆効果となる場合もあるため特性を十分に理解した上で判断する必要があります。

曲げ精度

Z曲げ加工では形状精度が特に重要です。

寸法や角度にわずかなズレが生じただけでも、製品の機能や組み立て精度に影響を及ぼす可能性があります。

高精度な加工機械や治具を使用し、位置決め精度や再現性を高められます。

また、加工後の検査を徹底することで設計図通りの精度を確保できます。

素材

靭性が低く弾性が高い素材は、Z曲げの加工には向いていません。

前述したスプリングバック(曲げ加工後に素材が元に戻ろうとする現象)が発生しやすくなり、加工精度を維持するのが難しくなるからです。

アルミニウムや銅は柔らかい素材で、曲げ加工自体は容易ですが、弾性が高い性質のためスプリングバックが起こりやすく、割れや亀裂が発生する場合もあります。

一方で、チタンやステンレス鋼のような靭性が高い素材は耐久性に優れていますが、同時に弾性も高いため、スプリングバックや加工時の割れや亀裂が発生しやすい傾向があります。

このように扱う素材によっては、曲げ加工時の反発や変形を考慮した設計や加工条件の最適化が必要になります。

Z曲げの用途

Z曲げによってできた加工品の用途としては、以下のようなものがあります。

フック
位置決め部品
ストッパー
機械部品
建築金物部品
ダクト部品
車両部品

Z字型の形状は、接合部の補強や取り付けブラケットとしての用途に適しており、特に構造的な強度や安定性が求められる部品の製造に利用されています。

Z曲げ加工後の製品に穴を開け、部品同士を結合する工程に使用されるケースも多いです。

まとめ

Z曲げは金属加工の中でも重要な技術の一つです。

1回の工程で仕上げる方法と2工程で行う方法があり、いずれの場合もスプリングバックなどの現象が発生しやすいため、事前に適切な対策が求められます。

弊社は曲げ加工を専門とする工場として、Z曲げをはじめ、さまざまな金属の曲げ加工に対応しています。

お客様のご要望に合わせた柔軟な対応が可能ですので、曲げ加工を検討しているときはぜひお気軽にご相談ください。