レーザー加工のメリットとデメリットを徹底解説
レーザー加工は、レーザー光を利用して素材を切断したり、刻印を施したりする加工方法です。
非接触で高精度な加工が可能なため、今やものづくりの現場になくてはならない技術となっています。
レーザー加工には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
本記事では、レーザー加工のメリットやデメリットについて詳しく解説します。
レーザー加工とは
レーザー加工とは、高エネルギー密度のレーザー光を材料に照射し、熱エネルギーによって対象物を融解・蒸発させる加工技術です。
素材の切断、穴あけ、彫刻、マーキング、溶接などの加工に用いられます。
レーザー光で1点に高密度のエネルギーを集中させることで金属、木材、プラスチック、ガラスなど様々な素材に対して精密な加工が可能となります。
レーザー加工機は、主に以下のように3つに分類され、加工目的や対象材料によって適切なものが使われます。
CO2レーザー
CO2レーザーは、CO2、N2、Xeなどの混合ガスを刺激してレーザー光を生成します。
紙、木材、ゴム、ガラス、アクリル、石材、皮革、ABS、PETなどの非金属素材に適しています。
加工時において、エッジの滑らかさを重視する場合はCO2レーザーが優れています。
YAGレーザー
YAGレーザーは、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)という結晶をレーザー媒体として使用しています。
YAGレーザーは、薄い金属板の切断や溶接に適しています。
微細加工や高精度な加工に適しており、電子部品や自動車部品などの製造に広く使用されています。
ファイバーレーザー
ファイバーレーザーは通常、希土類元素(例:エルビウム、イッテルビウム)が混ざった光ファイバーを使用します。
光ファイバー自体がレーザー媒質として機能し、安定性と精度に優れています。
金属やプラスチックなどの加工に向いており、光の反射率が高い金属素材への加工も可能です。
レーザー加工のメリット
ここでレーザー加工のメリットについて見てみましょう。
高精度な加工
レーザー加工は、微細な加工や複雑な形状の加工に優れています。
レーザー光が極めて細いため、1ミリ以下の細かいデザインにも対応可能です。
また、素材に刃が触れさせず加工できるため、材料が変形したりクラックが発生したりするリスクを低減できます。
レーザー加工では、バリやカエリが発生しにくく切断面が滑らかになるため、加工後の後処理がほとんど必要ありません。
加工自由度
レーザー加工では、従来の機械加工では困難だった複雑な形状や微細な加工が可能となっています。
レーザー加工機はCNC(コンピュータ数値制御)システムと組み合わせることで、複雑な2次元および3次元形状を正確に再現できます。
CAD/CAMソフトウェアで設計したデータを直接加工機に送ることで、高度な形状や精密なパターンを素材上に再現することが可能です。
また、レーザーのパラメータ(出力、周波数、パルス幅など)を細かく調整することで、同じ素材でも切断、彫刻、マーキングなど異なる加工を一台の機械で行えます。
加工効率
レーザー加工では、金型を必要とせずデータ入力によって加工を行います。
金型作成のための期間や交換の必要がないため、加工時間を短縮し、生産効率が向上します。
また、加工物の固定作業が簡素化され、清掃作業や研磨作業も削減できます。
メンテナンス性の高さ
レーザー加工では刃物や研削盤を必要としないため、消耗品の交換頻度が少なくメンテナンスの手間が軽減されます。
日常的に行う清掃やメンテナンスで機械の状態を良好に保てます。
レーザー加工のデメリット
次にレーザー加工のデメリットを見てみましょう。
加工速度の遅さ
レーザー加工の速度は、切削加工やプレス加工などの他の加工方法と比較して遅いという欠点があります。
これはレーザー加工が素材を溶融させながら加工するためです。
切削加工やプレス加工では、素材を瞬時に除去したり変形させたりできます。
特に、大量生産が必要とされる場合、レーザー加工は効率性の面で課題となる可能性があります。
厚い素材の加工が難しい
レーザー加工は、焦点距離の制限により、厚い素材の加工には不向きです。
レーザー光の焦点がズレるとエネルギー密度が低下し、加工効率が下がってしまいます。
厚さ10mm以上の金属板や高密度の材料では、レーザー加工の安定性が損なわれる可能性があります。
反射率の高い素材の加工の難しさ
アルミや銅のような高反射素材ではレーザー光が素材に吸収されにくいため、加工が困難になります。
このような場合には、設定を工夫したり別の加工方法を検討する必要があります。
コストの高さ
レーザー加工機の導入には高額な初期投資が必要です。
また、運用時には消耗部品や多くのエネルギーを必要とするため、ランニングコストも高くなります。
まとめ
レーザー加工は、多くのメリットを持つ優れた加工技術です。
一方で、加工速度やコスト面などの課題も存在します。
そのため、用途や生産規模に応じて最適な加工方法の選択が重要です。
レーザー加工の特性を正しく理解し、活用することで効率的かつ高品質な製品づくりが可能になります。