金属リサイクルとは?仕組みやプロセスをわかりやすく解説
金属のリサイクルは、限りある資源を効率的に活用し、地球環境を守るための重要な取り組みです。
金属を扱う工場では日常的に金属くずが発生しますし、私たちの日常生活でも金属を含んだゴミが当たり前に出てきます。
鉄やアルミニウム、銅といった金属を再利用することで、廃棄物を減らしエネルギー消費も抑えられます。
この記事では、金属リサイクルの具体的な仕組みやプロセス、メリットを詳しく解説します。
リサイクルのメインは鉄
回収された金属は、大きく分けて「鉄」と「非鉄金属」に分類されます。
非鉄金属には、アルミニウムや銅、ステンレス、さらに貴金属(銀や金)などが含まれますが、多くの場合、鉄くずがリサイクルのメイン素材となります。
鉄くずは、どこで発生するのかによって以下のように呼び方が変わります。
自家発生スクラップ
自家発生スクラップは鉄鋼メーカー内での製鋼や、加工工程から生じる鉄くず等を指します。
鉄鋼製品の生産過程で必ず生じるため、リサイクル工程における重要な原料となっています。
市中スクラップ
市中スクラップは、市場に出回った製品などから発生する鉄くずを指します。
このうち製造業の工場で、製品を作る過程で発生するものを「工場発生スクラップ」、建築物や車両の解体、または使用済み鉄製品から発生するものを「老廃スクラップ」といいます。
金属リサイクルのメリット
金属リサイクルには、以下のようにさまざまなメリットがあります。
資源の有効活用
金属リサイクルは、天然資源の保護に大きく貢献します。
リサイクルによって新たな金属の採掘を減らし、資源の枯渇を防ぎます。
また、廃棄物量削減によって埋立地の負担が減るので、土壌や水質汚染のリスクも低減します。
エネルギー節約と温室効果ガス排出削減
金属のリサイクルは、新規製造と比較して大幅にエネルギー消費を削減できます。
例えば、アルミニウムのリサイクルでは、新規製造と比べて約95%のエネルギーの節約になります。
その結果、化石燃料の使用量が減少し、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量削減につながります。
持続可能な社会の実現
金属のリサイクルによって、私たちは知らず知らずのうちにメリットを享受しています。
もしもリサイクルが行われていなければ、金属を使ったあらゆる製品の価格が現在よりも高くなってしまうでしょう。
金属は品質劣化がほとんどなく何度でも再利用できるため、持続可能な循環型社会の実現に大きく貢献します。
金属リサイクルの仕組み
金属のリサイクルは、以下のような段階を経て進められます。
回収
金属リサイクルの第一段階は、廃棄された金属を回収することです。
工場や建設現場、家庭からの廃棄物、自動車解体現場などいろいろな場所から回収が行われます。
分別
回収された金属は、不純物を取り除きながら種類ごとに分別されます。
加工
金属の形状や用途に応じて以下のような加工が施されます。
プレス加工:薄い材料を圧縮し、運搬や保管の効率を上げます。
シャーリング加工:長い金属を短く切断し、溶解しやすくします。
シュレッダー加工:金属を細かく破砕し、鉄、非鉄金属、非金属に分類します。
再資源化
加工処理された金属は、製鋼メーカーや合金メーカーで新しい素材として再資源化されます。
溶解、精錬などの工程を経て、新たな金属製品の原材料となります。
再資源化された金属は、品質面でも新しい金属と遜色がほとんどありません。
鉄スクラップは、ベトナムやタイなどのアジア諸国にも輸出されています。
リサイクルできない金属は埋め立て処理される
金属の大部分はリサイクル可能ですが、中にはリサイクルできない金属もあります
リサイクルできない金属には、例えば合金やレアメタルなどの希少金属などが挙げられます。
こうした金属は、基本的に安定型処分場へと埋め立て処理されます。
安定型処分場とは、汚染の心配のない廃棄物(以下の5品目)を埋め立てる施設です。
・廃プラスチック
・ゴムくず
・金属くず
・がれき類
・ガラス及び陶磁器くず
有害物質を含まない金属は、雨水によって性質が変化しにくいため上記の廃棄物と一緒に埋め立てられます。
しかし、埋め立て容量には限りがあるため、金属のリサイクル率を高めることが課題にもなっています。
多くの企業が、ゼロエミッションを目指してリサイクルの取り組みを積極的に推進しています。
まとめ
金属リサイクルは、環境保護や資源の効率的な活用において欠かせない取り組みです。
金属はリサイクルしやすい素材として、回収から加工、再資源化までが効率的に行われています。
個人レベルでも日常生活の中でリサイクルを意識することで、地球環境のための活動に参加できます。
私たち森井鉄工所も金属を扱う企業の一員としてリサイクルに取り組み、環境問題の改善に微力ながら貢献して参ります。