ボンデ鋼板とは?メリット・デメリットと特徴を解説
ボンデ鋼板とは、亜鉛メッキをした鋼板の一種です。
新日本製鉄によって開発された商品名にちなんでボンデ鋼板と呼ばれています。
ボンデ鋼板は、製品製造の際にどのような特性があるのかが気になっている人もいるでしょう。
この記事ではボンデ鋼板のメリット・デメリットを紹介します。
ボンデ鋼板とは
ボンデ鋼板とは、SPCC(冷間圧延鋼板)に対して電気亜鉛メッキをした鋼板です。
冷間圧延鋼板とは、金属を薄く引き延ばして鋼板を製造する過程で、圧力をかけるだけで熱をかけない方法です。
鋼板を電気的に亜鉛で薄くメッキをした後、ボンデライト処理と呼ばれるリン酸塩による皮膜処理をすることで仕上げます。
ボンデ鋼板の規格:SECC
ボンデ鋼板は、JIS規格では「JIS G 3313」の電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯に対応します。
ボンデ鋼板は海外ではSECC(Steel Electrolytic Cold Commercial)と呼ばれている鋼板です。
亜鉛メッキによって鋼板の表面を均一にコーティングし、防腐性を加えつつ、鋼材として使用しやすい特性を付与しています。
溶融亜鉛メッキとの違い
亜鉛メッキ鋼板にはSECCの他に、SGCC(Steel Galvanized Cold Commercial)もあります。
SGCCは溶融亜鉛メッキと呼ばれる方法で、溶かした亜鉛に鋼板を浸すことで施工するのが特徴です。
電気亜鉛メッキに比べ、厚いメッキになるので耐食性が高い性質があります。
しかし、メッキが厚いことで熱を加えたときにひずみが発生しやすく、溶接に向かないのが難点です。
ボンデ鋼板の方が加工性が高く、さまざまな用途で使用されています。
ボンデ鋼板のメリット
ボンデ鋼板は一般用の鋼材として広く利用されています。
ここでは、ボンデ鋼板を利用するメリットを見ていきましょう。
加工性が高い
ボンデ鋼板は、加工や成形をしやすいのがメリットです。
ボンデ鋼板は電気亜鉛メッキをしていて、メッキの密着性が高い性質があります。
同じ亜鉛メッキ鋼板でも、溶融亜鉛メッキをするよりも傷が付きにくいのが特徴です。
亜鉛メッキが全体に均一にできるため、曲げ加工やプレス加工などにも耐えられる素材として汎用性があります。
美観が優れている
ボンデ鋼板は、独特の味がある見た目に人気があります。
表面は均一で灰色で艶がありません。
他のメッキでは出しづらい固有の美しさを持っているのがボンデ鋼板の魅力です。
塗装をせずに、鋼材そのものの美しさを生かしたいときに好まれています。
塗装性が良い
ボンデ鋼板はそのままでも特徴的な美観を持っていますが、塗装性も高いので自由にデザインできるのもメリットです。
ボンデ鋼板の表面は滑らかで均一な亜鉛メッキに覆われています。
ボンデライト処理によってできたリン酸亜鉛皮膜は、塗料が定着しやすくきれいに塗装しやすい表面が整っています。
ボンデ鋼板は耐食性が極めて高いわけではありませんが、塗装をすれば性能を補うことができます。
溶接できる
ボンデ鋼板は溶接できるのがメリットです。
溶接加工では複数の鋼材を接続して製品を仕上げられます。
ただ、溶接のときに加熱をするので、鋼材の種類によっては溶接面でトラブルが起こる可能性があります。
ボンデ鋼板はもともと溶接に適しているSPCCが母材になっていることに加えて、リン酸亜鉛皮膜が溶融しにくいので溶接が可能です。
加工性を広げられる重要な性質になっています。
ボンデ鋼板のデメリット
ボンデ鋼板は、鋼材としてあらゆる点で優れているわけではありません。
ボンデ鋼板には以下のようなデメリットがあります。
・SGCCよりも耐食性が劣る
・屋外の利用では耐久性が低い
・クロメート処理を検討する必要がある
ボンデ鋼板は亜鉛メッキが薄いので、耐食性では溶融亜鉛メッキをしたSGCCには劣ります。
また、屋外での使用では耐久性が低くなるため、家電製品などの屋内で使用する製品や部品、工場での機械製品のカバーや部品などに用いられています。
また、クロメート処理をすればボンデ鋼板の耐食性が向上しますが、環境負荷を考えるとあまり好ましい方法ではありません。
まとめ
ボンデ鋼板とは、SPCCに電気亜鉛メッキによって薄く均一なコーティングをした鋼板です。
曲げ加工や絞り加工だけでなく、溶接もできる性質があるため、加工性が高くて使いやすい鋼材として汎用されています。
ボンデ鋼板は耐食性では溶融亜鉛メッキと比較して劣りますが、メッキによって錆びにくい性質は付与されています。
塗装やクロメート処理による耐食性の向上も可能で、広い用途で使用されている鋼材です。