ガルバリウム鋼板とは?用途・メリット・デメリットを解説
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛を主成分として製造された合金鋼板です。
日本国内でも様々な用途で使用されるようになり、特に住宅の屋根材として注目を集めています。
この記事では、ガルバリウム鋼板の用途や、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
ガルバリウム鋼板の特徴を理解し、活用を検討する際の参考にしてください。
ガルバリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板は、アメリカの製鉄会社ベスレヘム・スチールによって開発されたアルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板です。
ガルバリウムという単独の金属ではなく、アルミニウムと亜鉛を主成分とし、これにケイ素(シリコン)を加えた特徴的な組成により製造されています。
ガルバリウム鋼板の規格
日本においてガルバリウム鋼板はJIS規格のJIS G 3321に定められており、正式名称は「溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯」です。
規格では、鋼板の化学成分について炭素、マンガン、リン、硫黄の上限が定められています。
ガルバリウム鋼板のめっき組成の基本的な質量比は、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、ケイ素1.6%となっています。
ガルバリウム鋼板のメリット
ガルバリウム鋼板は、亜鉛鉄板とアルミめっき鋼板の優れた特性をバランスよく組み合わせた鋼板です。
ガルバリウム鋼板を使用するメリットを詳しく見ていきましょう。
優れた防食性
ガルバリウム鋼板の大きな特徴は、錆びにくいことです。
ガルバリウム鋼板のメッキに使用されているアルミ亜鉛合金は、不動態皮膜を形成するため一般的な亜鉛メッキよりも高い耐食性を持っています。
また、溶融亜鉛メッキと同様に厚いメッキ層を形成し、母材を保護するため多少の傷がついても錆びにくいというメリットがあります。
長寿命で長期的な使用が可能
ガルバリウム鋼板のもう一つのメリットは、長寿命であることです。
独特のメッキ組成により、大気中での耐久性が高められています。
雨風にさらされても錆びて劣化する可能性が低く、一般的な亜鉛メッキ鋼板の3倍から6倍程度の耐久性を持っているのが特徴です。
長期的な使用が可能なため、建材などに適しています。
優れた耐熱性と熱反射性
ガルバリウム鋼板は、耐熱性と熱反射性に優れています。
ガルバリウム鋼板の表面は光の反射率が高いため、直射日光に照らされても熱を吸収しにくいという特徴があります。
また、アルミニウムの含有量が高いメッキの効果により、高温環境下でも性能を維持できます。
これらの性質から、屋根材や耐熱性を必要とする加熱機器などに適した鋼材といえます。
軽量で幅広い用途に適用可能
ガルバリウム鋼板は優れた耐久性を活かし薄く加工できるため、軽量で使いやすい素材としても注目されています。
ガルバリウム鋼板を屋根材に使うと、軽量化により建物の骨組みへの負担が減り寿命が延びます。
また、屋根の重心が下がることで耐震性も向上します。
クロメートフリーで環境に配慮
ガルバリウム鋼板は、六価クロムを使用しないクロメートフリー鋼板の一種です。
亜鉛メッキ鋼板ではクロメート処理が求められる場合が多いですが、ガルバリウム鋼板はF処理と呼ばれる表面処理により、クロメートを使用せずに錆びにくい表面に仕上げられます。
環境負荷を軽減できる素材としても重要な役割を果たしています。
ガルバリウム鋼板のデメリット
ガルバリウム鋼板のデメリットは以下の通りです。
・傷や凹みに弱い
・加工技術の要求が高い
・素材価格が高い
ガルバリウム鋼板はよく薄くて軽い形状に成形して使用されますが、その分、傷や凹みができやすいことが弱点です。
そのため、加工や施工の際には高度な技術が求められます。
プレス加工やベンダー加工、曲げ加工を行う際にも丁寧な設計が欠かせません。
また、鋼材の中でも比較的価格が高い部類に入るためコスト面での注意も必要です。
ガルバリウム鋼板の主な用途
ガルバリウム鋼板は、優れた特性を活かして様々な製品に加工・利用されています。
素材価格がやや高めではあるものの、耐久性が高く屋外での使用に適しており、熱にも強いことから人気があります。
以下のような用途でガルバリウム鋼板が利用されています。
・住宅や事務所などの外壁や屋根
・各種パイプ
・産業機器
・家電製品
・高速道路の防音壁
ガルバリウム鋼板も錆びることがあるため寿命は無限ではありませんが、長期的に利用できる製品を作りやすいのが魅力です。
高速道路の防音壁のように、メンテナンス頻度を減らしたい場所でも活用されています。
まとめ
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム、亜鉛、ケイ素を主成分とするメッキを施した鋼材です。
優れた耐久性と耐熱性を持ち、厳しい環境下でも長期的な使用が可能であることが大きな魅力となっています。
一般的に、薄く成形した軽量のガルバリウム鋼板が使用されることが多いため、加工には高度な技術が要求されます。
しかしながら、基本的には加工の自由度が高い鋼板であるため、住宅や事務所の外壁・屋根、各種パイプ、産業機器、家電製品、高速道路の防音壁など、様々な用途で幅広く利用されています。
ガルバリウム鋼板の特性を理解し、用途に合わせて適切に選定・使用することで、長期的な耐久性とメンテナンス頻度の削減を実現できるでしょう。
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