プレス加工の歴史は浅い?技術の起源と現代までの流れを紹介
プレス加工は、金属素材の加工に用いられる技術です。
鍛造や鋳造などに比べ、プレス加工の歴史は新しく、近年になって急速に開発が進んできました。
この記事ではプレス加工の起源と、現代に至るまでの開発の歴史を紹介します。
プレス加工とは?
プレス加工とは、金型を使用して素材に圧力をかけ変形・成形する技術です。
金型に合わせて素材を成形できるため、同じ形状の製品を大量生産できるメリットがあります。
プレス加工が生まれた当初は手作業によるプレスをしていましたが、近年プレス技術の発展が進み、大量の製品を自動生産することも可能になっています。
その結果、プレス加工の汎用性が高まり、多様な製品の製造に用いられるようになっています。
プレス加工の起源
プレス加工の歴史は、18世紀のイギリスから始まったと言われています。
ヨーロッパで起こった産業革命によって、機械による製品の製造技術が生み出されました。
プレス加工が生まれる発端になったのは、1795年にJohn Bramahが開発したプレス機と考えられています。
このプレス機は水圧を使用する仕組みで鍛造をする機械だったので、現代のプレス機とはまったく異なります。
しかし、これが「機械で圧力をかけることで金属を成形する技術」の起源となりました。
プレス加工の歴史
プレス加工は金属加工の歴史の中では浅いですが、汎用性のある技術として急速な進展を遂げてきました。
人類が金属を加工することは紀元前6000年頃に始まったとされていますが、本格的なプレス加工が始まったのは20世紀に入ってからのことです。
近代から発展してきたプレス加工の歴史を見てみましょう。
500トンプレスの登場
プレス加工の原型が生まれた18世紀末に、プレス加工の技術開発が進められてきました。
現代の技術基盤としてのプレス加工は、20世紀前半に500トンプレスが開発されたことが起源になっていると考えられています。
1933年にイギリスのW. Wilkinsによって考案された、両側駆動のクランクレス機構による技術を活用して、500トンプレスが生まれました。
機械による高い圧力でのプレスが可能になったことで、加工できる金属素材が多くなり、プレス加工の汎用性が高まっていきます。
プレス加工の技術開発の進展
最初の500トンプレスには両側駆動のクランクレス機構が用いられたことを受けて、プレスの機構の技術開発が進みました。
1954年にはWeingartenによってリンクモーションプレスが開発されています。
Weingartenは、Fritz Mueller社と合併して現在のSchuler Pressen GmbH社になり、プレス加工の大手になっています。
リンクモーションプレスによってプレス加工の高速化が可能になり、さらなる技術開発を進めるきっかけが生まれました。
自動車工業・航空機産業による活用
プレス加工の基礎技術の開発が進んだことを受けて、20世紀半ばには産業応用が活発に行われました。
アメリカで自動車産業が発展したこともあり、量産化が進められていきます。
この頃に大型機械プレスの実用化が進み、大型車両の生産も実現しています。
戦時中には5,000トンの油圧プレスが航空機製造に用いられていました。
技術の効率化と精密化の進展
戦後になると、プレス加工の技術開発の方向性が変わってきました。
戦前は主流だった油圧プレスが機械プレスに切り替えられ、生産効率を重視する時代になりました。
自動車業界を中心としたライン生産での自動化にプレス機械も導入されています。
プレス加工の精密化も進み、設計に基づく精巧な加工も対応可能になってきました。
ハイテン材や機能性材料などの開発と多様化を受けて、素材に合わせたプレス加工の技術開発も進められています。
弊社におけるプレス加工事例
まとめ
プレス加工の歴史は、産業革命の時期に始まりました。
プレス加工は、紀元前から存在するさまざまな加工技術に比べると歴史が浅い技術です。
自動車や航空機などの生産の必要性をきっかけにして、実用性の高い技術が急速に生み出されてきたという背景があります。
現在でも生産効率を重視した技術が開発されています。
プレス加工は金型を使って素材を成形するため、同じ製品を大量生産できるのが特徴ですが、個別の素材に合わせた加工にも活用できる技術です。
弊社では、精密さを重視した個別の製品のプレス加工にも対応できますので、ぜひ気軽にご相談ください。