金属加工の歴史・起源は紀元前に遡る!現代に至るまでの流れを解説

金属は、人類の文化を築き上げる上で重要な役割を果たしてきました。
現代社会は、金属加工品なくしては語れないといっても過言ではありません。
私たちの生活に深く浸透している金属加工ですが、人はいつから金属を加工するようになったのでしょうか。
また、金属加工の歴史はどのようにして発展してきたのでしょうか。
今回は、金属加工の歴史を起源から現代に至るまでの流れをお伝えしていこうと思います。
金属加工とは?
金属加工とは、金属材料に手を加えて形状を変更したり、性質を整えたりする技術です。
現在では、金属加工にプレス機や切削機などの機械を使用しますが、昔は手作業での金属加工が行われてきました。
金属加工の起源
金属加工の起源は、四大文明の時代に遡ります。
古代エジプト文明や古代メソポタミア文明では、銅器や青銅器が使用されていました。
金属の加工技術の起源には諸説ありますが、紀元前6000年頃には金属加工が始まっていたと考えられています。
当時、貴重な金属として崇められていた金(ゴールド)の加工が最初に行われたという説もありますが、加工性の高い銅が初期に加工されるようになったという説もあります。
金属加工の歴史
金属加工の歴史は古代の四大文明から始まり、世界中に広まって日本に到来しました。
各国で金属加工の技術が発達し、現代に至っています。
ここでは金属加工の歴史を、時代ごとに分けて見ていきましょう。
鍛造の始まり
金属加工では、まず鍛造が最初に生まれたと考えられています。
古代エジプトにおけるツタンカーメンの黄金マスクは、鍛造によって加工された代表的な工芸品です。
紀元前6000年頃には、金や銀などの加工に鍛造が用いられ、当時の貴族の装飾品や祭祀品が製作されていました。
銅の精錬の始まり
その後、銅の発見と精錬の技術が生まれたことで、金属加工の発展が進み、金属製品がさらに普及します。
古代メソポタミア文明では銅の精錬技術が開発され、銅の生産が進められていました。
銅器時代の幕開けによって、鉱石から金属を精製して加工することが可能になります。
銅器から青銅器へ
金属加工の技術を広げたのは、銅器時代から青銅器時代への移行でした。
紀元前3600年頃から青銅が使われるようになります。
青銅は銅と錫の合金で融点が800℃程度と低いため、熱で溶融させて鋳造することが容易になりました。
硬度が高く、加工性も優れた青銅は、武器や装飾品などさまざまな道具の製造に用いられるようになります。
この技術革新は、文化の発展に大きな影響を与えた一因と言えるでしょう。
鉄器時代へ
紀元前2400年頃に鉄の精錬が始まったことで、金属加工の技術の発展はさらに進みました。
アナトリアのヒッタイト王国では、紀元前1500年頃には武器や戦車などの製造が鉄によって行われていました。
製鉄技術についての文書から、砂鉄などを原料として加熱鍛造する技術が生み出されたことがわかっています。
鉄の融点は約1500℃で、青銅の加工に比べると高度な技術が求められます。
長い歴史を経て金属加工の技術が向上してきたことがわかるでしょう。
金属加工技術の拡散と発展
四大文明の後、ヨーロッパ、中東、アジアなどで交易が盛んになり、金属加工の技術が他の国にも伝わっていきます。
世界各地で技術開発が進められ、祭祀具や農具、食器などのさまざまな道具の製造に使われるようになりました。
日本では、紀元前470年頃には鉄の加工技術が伝来し、「たたら」による独自の鉄の加工技術の開発が進みました。
平安時代には日本刀の技術も生まれ、平安末期以降の武家時代につながっています。
工作機械の開発と加工プロセスの構築
近代の金属加工技術は、産業革命の時代に生まれました。
18世紀のイギリスで紡績機械などの工業機械を製作する中で、工作機械による金属加工が開発されました。
溶鉱炉の開発も進み、現代でも用いられている金属の精錬から加工に至るプロセスが築き上げられています。
現代では、新しい金属素材の開発や、素材の特性に合わせた金属加工技術の開発なども進められ、多様な金属製品を製造できる時代になっています。
当社における金属加工事例
まとめ
金属加工の歴史は、四大文明の時代に始まったとされています。
金や銅の加工が古代エジプト文明や、古代メソポタミア文明で始められたことが起源と考えられています。
銅と錫から青銅を生み出す技術が生まれ、合金が可能になり、ヒッタイトによる製鉄技術の開発によって鉄器が普及していきました。
現代では、新素材の開発や加工技術の進化により、多様な金属製品が製造され、さまざまな産業において不可欠な役割を果たしています。